SATORUブランドストーリー:家電量販店で感じた違和感から
数年前、私は家電量販店の電動歯ブラシ売り場に立ち、展示されていたサンプルを一本ずつ試していました。
そこで感じたのは、少しの違和感でした。
「強力な清掃力」をうたうモデルは、振動が強く、歯や歯ぐきに心地よいとは言えませんでした。一方で、「やさしい歯ぐきケア」をうたうモデルは、振動が弱く、ブラシ毛先が歯面を軽くなでるだけで、しっかり磨けている感覚があまりありませんでした。
多くの電動歯ブラシを試しても、自分に本当に合うと思える一本には出会えませんでした。
その日、私は何も買わずに店を出ました。しかし、ひとつの問いを持ち帰りました。
電動歯ブラシには、まだ別のかたちがあるのではないか。
もっとやさしく、もっと制御しやすく、そして実際の手みがき動作に近いかたちがあるのではないか。
その後、私は歯ブラシの本質をあらためて考えるようになりました。マーケティングの言葉、モード名、数字上のスペックをいったん脇に置くと、歯ブラシの本質はとてもシンプルです。
ブラシ毛先を適切な方法で動かし、歯をきれいにすること。
長い間、電動歯ブラシの多くは、モーターの高周波振動によってブラシを動かす方向で発展してきました。その方法にはもちろん価値があります。しかし振動は外装に伝わり、手に伝わり、歯や歯ぐきにも伝わります。清掃感と快適性の間には、どこかで妥協が必要になるように感じました。
そこで私は、逆の方向から考え始めました。
「ブラシ毛先を動かす」という本質に戻ったとき、強い振動だけに頼らず、より精密な機械構造によって、ブラシ毛先をより合理的な軌道で動かすことはできないか。
そこから、何度もスケッチを描き、構造を考え、材料を試し、試作と修正を繰り返しました。
その中で、ひとつの方向が少しずつ見えてきました。
歯ブラシ全体を強く震わせるのではなく、動きをできるだけ内部構造に閉じ込め、ブラシ毛先だけをあらかじめ設計した軌道に沿って動かすこと。
やがて、SATORUの中核となる構造が少しずつ形になっていきました。
内部の軌道ガイド構造によって、ブラシ毛先が揺動しながら、わずかな往復変位も生み出す。二つの動きが重なることで、より自然な歯みがき動作に近い複合軌道を形成する。
清掃感は、ただ「速く振動すること」だけから生まれるのではありません。より合理的な動き方からも生まれるはずです。
これが、SATORUの出発点です。
大きなスローガンから始まったわけではありません。つくられた創業ストーリーでもありません。
それは、ひとりの生活者が家電量販店の売り場で感じた小さな違和感と、素朴な問いから始まりました。
一本の歯ブラシは、清掃感と快適性の間に、もう少しよいバランスを見つけられるのではないか。
もっとやさしく、もっと制御しやすく、そして実際の手みがき動作にもう少し近づけられるのではないか。
SATORUは、その問いを構造、支持、材料、軌道という形で検証し続けています。